漢字がなかなか覚えられない……そんな経験はありませんか?
漢字検定2級のように暗記が物を言う試験では、「覚えたのに思い出せない」という事態が合否を分けることも。
この記事では、記憶のメカニズムを解き明かしたエビングハウスの忘却曲線について解説。
エビングハウスの忘却曲線を活用した、効率的・長期的に記憶に残すための学習法をご紹介します。
「正しいタイミング」で「正しい方法」で学べば、暗記はきっと苦ではなくなります。
- 忘却曲線とは何か?記憶が薄れる理由とその仕組み
- 忘却曲線を活かした、記憶に残る漢字の復習タイミング
- 復習スケジュールを活用した5ステップの漢字暗記法
- 音読・語源・場所など記憶を強化する具体的な学習テクニック
忘却曲線とは?|記憶が薄れる速さ
学習をしている中で、「覚えたつもりだったのに忘れていた…」という経験は誰にでもあります。
その原因を解き明かしてくれるのが、エビングハウスの忘却曲線です。
ここでは、エビングハウスの忘却曲線を用いながら、記憶が薄れるスピードと、それを踏まえた効果的な復習法について解説します。
エビングハウスの忘却曲線とは
エビングハウスの忘却曲線は、「人は学習した内容を時間とともにどれくらい忘れていくのか」をグラフで表したものです。
実際に、下のグラフを見てみましょう。

このグラフによると、学習直後の記憶は急激に減少し、20分後には約40%、1時間後には約60%を忘れてしまいます。
そして、1日後には、約74%もの記憶が失われてしまうことを示しています。

1時間後には、覚えている量より、忘れている量の方が多いなんて…
人は覚えたことをすぐに忘れる
エビングハウスの実験でわかるように、人の記憶は、とてもあいまいで忘れやすいものです。
これは、脳が「使わない情報は重要ではない」と判断し、自動的に忘れるよう処理してしまうからです。
つまり、忘れてしまうのは誰にでも起こる自然な現象であり、むしろ、忘れることを前提にした学習が大切です。



次で、効果的な学習法を説明します。
忘却曲線に沿った漢字学習の進め方
エビングハウスの忘却曲線を活かして、暗記の効率を最大限アップさせるためには、学習の流れを整えることが必要です。
ここでは、記憶に定着しやすい漢字暗記法を5つのステップに分けてご紹介します。
まずは集中してインプット|復習の“土台”をつくる
人は、覚えたことをすぐに忘れてしまうものです。
だからこそ、あとから復習できる“土台”を最初にしっかり作ることが大切です。
ここでの学習は、完璧に覚えることが目的ではなく、「しっかり頭に入れた」という経験を積むことがポイントです。
覚える数は10個でも50個でもOK。
自分のペースで進めながら、読み・書き・意味・熟語をセットで学習しましょう。
この初回インプットがあってこそ、後の復習が「思い出す学習」として効果を発揮します。



この集中した初回学習が、次の復習の土台になります。
学習した内容は、翌日までに大きく忘れてしまいます。
そのため、最初の復習は24時間以内に行うことが非常に重要です。
このタイミングで復習することで、記憶が脳に「必要な情報」として再認識され、忘れにくくなります。
テスト形式で思い出してみるだけでも十分効果があります。



たった1回の復習で、記憶の持続力がグッと高まります。
最初の復習で定着しかけた記憶も、日が経てばまた薄れてきます。
3日後のタイミングで再度確認することで、忘却曲線に逆らうように記憶が強化されます。
このときも、ただ見直すのではなく「思い出す」ことがポイントです。



小テストなど、アウトプット中心の復習が効果的です。
1週間経った頃には、学習した内容がさらに曖昧になっているはずです。
このタイミングでの復習は、記憶を短期から長期へと切り替えるチャンスです。
一度しっかり定着した漢字は、以後の忘却スピードがぐっと遅くなります。
ここで覚えた内容は、試験本番でもしっかり思い出せるようになります。
最終ステップは、2週間後の復習です。
ここでしっかり思い出せれば、その漢字はすでにあなたの「知識」として定着しています。
さらに余裕があれば、1ヶ月後にも再確認するとより安心です。
この5ステップを繰り返すことで、漢字は忘れにくくなり、確かな力として身についていきます。



この学習法は、英単語や歴史用語など他の暗記科目にも応用できます。
他にもできる記憶に残る学習法
復習のタイミングだけでなく、「どのように覚えるか」も記憶の定着に大きく影響します。
ここでは、漢字の記憶をさらに深く、そして長く保つための学習の工夫をご紹介します。
イメージや語源で意味を結びつける


漢字をただ機械的に覚えるのではなく、イメージや語源と結びつけて覚えると、ぐんと記憶に残りやすくなります。
たとえば、「波乱(はらん)」とは、物事が順調に進まず、トラブルや予想外の展開が起こることを意味します。
- 「波」は水を表す「さんずい」に「皮」で、水面が不規則に動く様子を表現しています。
- 「乱」は糸がもつれたような形から成り立ち、秩序が崩れて整っていない状態を意味します。
- この「波」と「乱」が組み合わさることで、水面が乱れるように物事が不安定になる=波乱となります。
このように、ストーリーや連想を加えることで、漢字が単なる記号ではなく「意味のある形」として頭に残ります。



自分なりの語呂合わせや図解なども、積極的に活用してみましょう。
音読+書写で五感をフル活用


漢字を覚えるときは、ただ書くだけではもったいないです。
声に出して読みながら書くことで、視覚・聴覚・運動感覚の3つを同時に使うことができます。
このように五感を使って覚えることで、脳への刺激が増え、記憶にしっかり残りやすくなります。
黙って書くよりも、声を出すことで集中力が高まり、学習への意識も深まります。
1文字につき数回ずつ、ゆっくり「読みながら書く」だけでも、驚くほど記憶への定着度が変わってきます。



「手と口を同時に動かす」ことを意識して、五感で覚える漢字学習を取り入れてみましょう。
覚える場所を変えると記憶が強くなる


漢字の記憶をより定着させたいなら、学習場所を変えるのも効果的な方法です。
これは「場所依存記憶」と呼ばれ、人は場所と情報をセットで覚えやすいという特性を活かした学習法です。
たとえば、「この漢字はカフェで覚えた」「公園のベンチで書いた」などの体験は、試験本番の思い出しにもつながります。
図書館やカフェ、家の別の部屋など、少し環境を変えるだけで記憶に新たな刺激が生まれます。
漢字の学習をする際は、場所を変えてみるのもおすすめです。



ふとしたきっかけで思い出せるようになるので、試験本番にも強くなりますよ。
まとめ|忘却曲線を使えば漢字の記憶は驚くほど定着する
この記事では、エビングハウスの忘却曲線を活用した、漢字の効率的な覚え方について解説しました。
記憶は時間とともに薄れるもの。
ですが、適切なタイミングで復習すれば、むしろ記憶はどんどん強化されていきます。
とくに、暗記量の多い漢字検定2級では、忘却曲線に合わせた学習法が合格への大きな武器になります。
- 忘却曲線は「記憶がどれくらいの速さで失われるか」を示すグラフ
- 学習内容は24時間で約7割忘れてしまう
- 効果的な復習タイミングは「翌日→3日後→1週間後→2週間後」
- 音読や書写、語源・場所記憶などを取り入れると定着力が高まる
完璧を目指すより、まずは習慣にすることが大切です。
忘れるのは当たり前。
だからこそ、「忘れる前に復習する」ことが、あなたの記憶を強くし、漢字検定合格への近道になります。



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